今回のお話で使用させていただいたポーズ、もっく様よりお借りしました!ありがとうございました!
※デフォシムに喋らせています。※
※デフォシムの公式設定に則っておりますが、一部妄想が入っています。※
以上苦手な方は閲覧ご注意ください。
前回、クレーター研究所の最深部で謎の巨大植物を発見した恵那と宗一郎。
逃げ帰るように町に戻った二人は、町の状況が一変してしまったことに気が付きます。
そしてそこにディラン君から連絡が。
何やらすぐに家に来てほしいとのこと。
不穏な空気を感じた二人はすぐさまディラン君の家に向かうことにしました。
ディラン「ジェスの様子がおかしいんだ…!どうしたらいいか分からなくて。」
ディラン「数時間前までは普通にしていたのに、急に発作が起きて…。それにいつもなら、この発作もすぐおさまるのに、今日はなぜか治らなくて…!」
宗一郎「ディランさん、落ち着いてください。奥さんはどこに?」
恵那「!」
恵那「…ジェスさん…!」
宗一郎「…ジェスさんも奇病に冒されていたんですね。」
ディラン「どうしたらいいのか…このまま発作が治まらなかったら、俺は…」
恵那「・・・・・・・・・」
宗一郎「俺に任せてください。二人は離れて。」
ディラン「…二人とも、ありがとう。ようやく落ち着いたみたいだ。」
恵那「・・・・・・・・・」
ディラン「リビングに行きましょうか。お話したいことがあります。」
ディラン「ずっとお二人には黙っていました。妻のジェスが奇病患者だということを。」
ディラン「本当は話すべきだったと思っています。…でも、言えなかった。」
ディラン「それで今夜こんなご迷惑をおかけすることになるなんて。すみませんでした。」
宗一郎「謝らないでください。」
宗一郎「でも教えていただけますか?今までのことを。」
ディラン「・・・・・・・・・」
ディラン「この町に引っ越してきたのは、妻がStrangerVille軍事基地に配属されたためでした。」
ディラン「僕はそのタイミングで当時の仕事を辞めて主夫になることにしました。小学生の娘もまだ小さいですし、知らない土地で娘を一人にさせたくなかったのです。」
ディラン「越してきてからしばらくは平穏な日常が続きました。この町も他の町と変わらない、平凡な場所。そう思っていたのですが…」
ディラン「次第にこの町のおかしなところが目に付くようになりました。」
ディラン「突然発作を起こす町民、そしてそれを見て見ぬふりをする他の町民…その光景は、僕からしたら異常に見えました。」
ディラン「だってそうでしょ。焦点が合っていない、関節をおかしな方向に曲げながら奇妙な言葉を発して歩く町民を、なぜ他の町民は無視して普段通りの生活を送ることが出来るのか。」
ディラン「この町の奇妙さに、少し嫌な予感がしました。」
ディラン「しかし引っ越してきたばかりですしジェスも新しい配属先で忙しくしています。なかなか夫婦でその話をすることが出来ませんでした。」
ディラン「そしてある日、一番危惧していたことが起こります。」
ディラン「深夜突然ジェスが奇病患者と同じ症状を発症したのです。」
ディラン「…その時は妙に落ち着いていました。普段から奇病患者のことは見ていましたし正気に戻す方法も知っていました。それに、心のどこかで分かっていたんだと思います。自分達も奇病に罹る可能性が高いのだということを。」
ディラン「それから奇病について調べることにしました。この町をうろついている陰謀論者、科学者、そして軍関係者。しかし彼らから話を聞いても、話をはぐらかされるか信じがたい内容の話をされるばかり。」
ディラン「そしてようやくクレーター研究所という場所を突き止めることが出来ました。そこで僕は初めて妻に話したのです。妻が奇病に罹っていること、そしてその原因を突き止めるためにクレーター研究所に向かいたいと。」
ディラン「…しかし…」
ディラン「彼女に止められました。クレーター研究所には何もない。何もおかしいことなんてないから、研究所には行くなと。」
宗一郎「…ジェスさんが?」
ディラン「恐らく彼女は僕の知らないことを知っているのでしょう。そしてそれを口止めされている。僕はそのように思いました。」
ディラン「そんな様子のおかしい妻を見て確信しました。クレーター研究所に何かあると。」
ディラン「しかし、僕はクレーター研究所に向かうことが出来ませんでした。」
ディラン「…娘のことが一番心配だったのです。もし僕が危険を冒して僕自身に何かあったら…僕も奇病に罹ったら…残された娘はどうすればいいのか。」
ディラン「そして深夜になると病気を発症する妻の姿を、娘には見せられなかった。どうしても娘のそばを離れることが出来なかったんです。」
ディラン「…そんな時に、臼井さん達に出会った。」
ディラン「あなた方はすぐさまこの町の奇妙なところに気が付いた。奇病のことも興味がある様子だった。」
ディラン「…僕は、あなた達になら相談できると思ったんです。」
宗一郎「…なるほど。それで僕たちに協力的だったわけですね。」
ディラン「…お二人とも、積極的に奇病に関して調べていましたから。僕はとにかく妻の奇病を治すための情報が欲しかった。…だから協力したかったんです。」
恵那「・・・・・・・・・」
ディラン「…主夫とは言っても、僕はジェスの夫でありクリスティの父だ。」
ディラン「僕は家族を守りたい。でも僕の力だけでは何も出来なかった…だから君たちの調査に賭けるしかなかった。」
宗一郎「教えていただいてありがとうございます。シグワース家の事情が分かってよかった。」
宗一郎「安心してください。僕らはまだ奇病に関する調査を続けます。」
ディラン「宗一郎さん…」
宗一郎「ジェスさんも落ち着いたようですし、今晩は引き上げるとします。また何かあったらすぐに連絡をください。おひとりで無理しないように。」
ディラン「分かりました…」
数日後、自宅
宗一郎「…恵那。」
宗一郎「飯、冷蔵庫に入れておいたから。ちゃんと食べるように。」
宗一郎「それと食欲はなくてもちゃんと水は飲め。死ぬぞ。」
恵那「・・・・・・・・・」
宗一郎「今日、ここまでの調査報告に対する返答がある。今後の俺たちの捜査に関する指示も含まれているはずだ。」
宗一郎「…科学者としての任務はもうないかもしれないな。」
恵那「・・・・・・・・・」
宗一郎「・・・・・・・・・」
宗一郎「…俺はもう、お前はこの任務を降りてもいいと思っている。」
宗一郎「それじゃ、仕事に行ってくる。」
恵那「・・・・・・・・・」
恵那「(…私、バカみたいだ。)」
恵那「(なに期待していたんだろう。)」
恵那「(…ディラン君、最近は昔のディラン君みたいに話したりできたから…もしかして、私のことまた好きになってくれるかも、なんて思っちゃってた。)」
恵那「(…私、バカだ。バカすぎる…)」
恵那「(ディラン君がずっと私と一緒に過ごしていたのは…私のことを頼りにしてくれていたのは、全部ジェスさんのためだった。)」
恵那「(ジェスさんの病気を治すため。そのためだった。)」
恵那「(…そして娘さんを守るため…)」
恵那「(私のことなんか、これっぽっちも彼の心の中にはなかったんだ)」
恵那「(なのに私だけ浮かれて、また元に戻れるんじゃないかって期待して…)」
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