今回のブログで使用させていただいているこちらのポーズ、もっく様よりお借りしました!ありがとうございました!
※デフォシムに喋らせています。※
以上苦手な方は閲覧ご注意ください。
ある日、いつものようにトーマスさんが遊びに来てくれました。
エミリーはベーグルを焼いて、トーマスさんに試食してもらっています。
ドア「コンコン」
エミリー「お客さん?誰かしら。」
エミリー「はーい」
エミリー「…!」
エミリー「…あなた…!どうしてここに…!」
???「やっと見つけた。入るわよ」
エミリー「ちょっと…!」
???「は?男?絵美子、男作ってたわけ?」
エミリー「由紀、やめて!」
トーマス「…あ?お前誰だよ。」
由紀「絵美子から聞いてないの?私は安達由紀、絵美子の妹よ。」
トーマス「?」
トーマス「妹?ていうかまず絵美子って誰だ?ここにはいないぞ」
由紀「何言ってるのよ。ねぇ、絵美子」
トーマス「・・・?」
トーマス「…もしかして…エミリーのことか?」
エミリー「・・・・・・・・・」
由紀「は?エミリー?あんた、まさか偽名使ってるわけ?」
エミリー「…!」
由紀「しかもエミリーって…!髪もブロンドに染めて。何?外国人に成りすましてるの?ウケるんだけど」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「・・・・・・・・・」
トーマス「…事情は分かりませんが、お引き取り願えますか。」
由紀「なによ、おじさん。」
トーマス「彼女が困っている。今日のところはお帰り願いたい。」
由紀「あんたに決定権なんてないはずよ。私は絵美子に用があって来たの。」
エミリー「…帰って。」
エミリー「由紀、帰ってよ。」
由紀「わざわざこんな遠くにまで来たのも、あなたに会うためなのよ?」
エミリー「…私は会いたくなんてなかった。」
由紀「なによそれ、ひどいわね。お母さんもお父さんも、あなたが出て行って心配しているの。今すぐ一緒に帰るわよ。」
エミリー「・・・・・・・・・いやよ。」
エミリー「いいから帰って。お願いだからこの家から出て行って…!」
由紀「・・・・・・・・・」
トーマス「…彼女もこう言っている。大人しく帰らないと、警察を呼びますよ。」
由紀「・・・・・・・・・」
由紀「…ふん。分かったわ。今日のところは帰るわよ。でも、また来るから。」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「・・・・・・・・・」
エミリー「…ごめんなさい…」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「・・・・・・・・・」
トーマス「…えっと、エミリー…いや、絵美子さん…?どっちで呼べばいいんだ…」
エミリー「…呼びやすい方でどうぞ…」
トーマス「じゃ、じゃあ、エミリーで…」
エミリー「・・・・・・・・・」
エミリー「…驚いたよね…。」
トーマス「まぁ、そりゃ…」
エミリー「ごめんなさい。」
トーマス「謝らなくていい。」
エミリー「・・・・・・・・・」
エミリー「…だましているつもりなんてなかったの。でも…エミリー・アンダーソンは本名じゃない。」
エミリー「私の本当の名前は安達絵美子。」
エミリー「妹も言っていたけど、髪も染めてる。ブロンドなんかじゃない。」
トーマス「…うん。」
エミリー「・・・・・・・・・」
エミリー「…私のこと、話してもいい?」
トーマス「ああ、聞きたい。」
エミリー「・・・・・・・・・」
エミリー「私ね、ずっと嫌われていたの。」
エミリー「お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん…それに妹の由紀。」
エミリー「トーマスさんも知っていると思うけど、私、つい余計なことを言ってしまうみたいで。」
エミリー「私は褒めているつもりでも、相手はけなされているって思ってしまう。相手のためを思って言っても、それで傷つけてしまう。」
エミリー「子供の頃からそうだった。自分が正しいって思って言ったことや、やったこと。全部裏目に出る。全部間違ってしまう。」
エミリー「気が付かないうちに相手を傷つけてしまうから、みんなに嫌われていたんだ。」
トーマス「家族からも?」
エミリー「…うん。お前なんて大嫌いだよって、いっつも言われてた。だから私は嫌われ者だって思ってたし、私が失礼なこと言って傷つけてしまうから嫌われても仕方ないことだって思ってた。」
エミリー「全部自分が悪いから。」
エミリー「…それに、それが普通だと思ってた。家族に嫌われるのなんて、普通のことだって。どの家庭でもよくある話だって。」
トーマス「そんなわけないだろ。」
エミリー「そうだよね。そうなんだよ。…妹が生まれて気付いたの。私がそうなだけなんだって。」
エミリー「私が何かしたいことがあってやってみても、誰も認めてくれない。子供の頃に描いた将来の夢も全部、お前になんて出来ないって言われてしまう。でも、妹に対しては違った。」
エミリー「由紀に対しては…お母さんもお父さんも、みんな応援してた。由紀は出来る子だから絶対に夢を叶えられるって。」
エミリー「だから気づいたんだ。私が普通じゃないんだって。」
エミリー「…でも、家の外では私を好きになってくれる人がいるんじゃないかって思ってた。だから学校でも明るく振舞って友達たくさん作ろうとしたんだけど…」
エミリー「…やっぱり私が悪いみたい。途中まではうまくいっても、最終的には全部だめになっちゃった。」
エミリー「…それで、ついこの間。思い切って、家を出ることにしたの。」
エミリー「あの家やあの場所にいたら、私ずっとこのままだって思ったから。やり直したいって。一から人生始めたいって、家を出たんだ。」
トーマス「…それでヘンフォードに?」
エミリー「…うん。」
トーマス「でもなんで名前を偽って髪を染めたりしたんだ?そのままの姿でもよかっただろ。」
エミリー「…自信がなかったの。ずっと人から認めてもらえない安達絵美子。このままじゃ、また同じことの繰り返しだって思ったんだ。」
エミリー「だから髪を染めて、名前も変えて…」
エミリー「…プリンセスだなんて馬鹿げた設定もそのため。」
トーマス「さすがにそれはぶっ飛び過ぎだ。」
エミリー「…本当にね。でも、プリンセスだなんて自称する人が目の前に現われたらどう思う?多少変なこと言っても、「ああ、元々変な奴だからな」って思ってくれるでしょ?」
エミリー「変な奴だって思われた方が、嫌われるよりマシだと思ったの。」
エミリー「…トーマスさん。黙っていてごめんね。」
エミリー「これが私の本当の姿です…ごめんなさい。」
トーマス「・・・・・・・・・」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「…それで、妹のことはどうするんだ?」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「…連れて帰るって言ってたな。親も心配してるって。」
エミリー「…心配なんてしてるわけない。」
トーマス「・・・・・・・・・」
トーマス「…俺はお前とは付き合いが短いと思うけど。」
トーマス「お前が正しいと思ってやってきたことが全部裏目に出てしまうとか、人を傷つけてしまうとか。短い間だけど、確かになって思う面もある。」
トーマス「最初の頃は、お前の言うことにイライラさせられることもあった。」
トーマス「…でも、俺はお前のこと嫌いじゃない。」
トーマス「お前はさ、運が悪かったんだよ。お前の意見と違う奴らばかりに囲まれていたんだ。たまたまそうだっただけ。お前が本当に伝えたいことに、周りの連中が気づけなかっただけなんだ。」
エミリー「・・・・・・・・・」
トーマス「だってほら、今のお前の周りを思い出してみろよ。」
トーマス「ラフルに村長、食料品店のキムだって、お前のこと頼りにしてるだろ。ラフルなんて俺に何故か張り合おうとするぐらい、お前に懐いてるし。」
トーマス「…たまたま、今までそういう連中に出会えなかっただけなんだ。そして、ここに来てお前を見てくれる奴らにようやく出会えた。それだけのことなんだよ。」
エミリー「…トーマスさん…」
トーマス「…俺なんかがお前の人生に口出しする権利なんてないと思う。でも、言わせてくれ。」
トーマス「ここにいてくれよ。元の場所に帰るなんて言うな。」
エミリー「・・・・・・・・・」
エミリー「…ありがとう、トーマスさん。」
次回に続きます
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